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「がん哲学ノート」150回記念 〜ジュネーブにて〜

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 「がん哲学ノート」は、ここに150回を迎えた。ささやかな、継続の達成感である。記念すべき時、丁度、今、ジュネーブ(2013年3月24日)である。初めての訪問である。今回は、偶然にも、筆者のテーマでもある「結節性硬化症」の会議「Multidisciplinary Treatment of Tuberous Sclerosis Complex: Optimizing Care for Children and Adults」に参加する機会が与えられた。本疾患は、小児から発症する、症状も極めて多様であり、治療法も開発途上であり、且つ、遺伝疾患でもあり、病理学者として心悩める、まさに難病である。この度、専門家、家族と一緒になって「日本結節性硬化症学会」を立ち上げた。記念ずべき第一回の「日本結節性硬化症学会総会」の開催(2013年11月1日)に向けて、日進月歩の最新情報を得ることが出来、大いなる学びの時となった。また、本疾患の大家であり、長年の友人であるイギリスの医学者と再会が出来たことは、大変嬉しかった。

 筆者にとって、ジュネーブといえば、まず、ジュネーブ生まれの Paul Tournier(1898-1986:精神科医)を想い出す。筆者が医学部の学生時代、神戸で、Paul Tournier の講演を聞いたのは、人生の大いなる出会いであった。どうして、Paul Tournier の講演を聴く場に導かれたのか、思い出せない。筆者は、今回の旅に、Paul Tournier の著作『聖書と医学』(赤星進訳 聖文舎発行)を携えた。1975年7月6日購入、1975年7月16日通読と本末に記述されていた。21歳の医学部生の時代であり、400ページを超える本で、至る所に、赤線が引いてあり、まさに、夜を徹して読んだことであろう。「どの人にとっても、彼に現在起こりつつあることは ー病気、不安、悲しみ、困難ー が問題なのである。彼はその出来事から何かを学び、決定を下さなければならぬのである。彼はどこに助けを見いだすであろうか。」(page 119)に、既に「がん哲学」&「がん哲学外来」のコンセプトがあり、再発見の大変貴重な長旅の機内の読書の時間となった。

 さらに、忘れてはならぬのは、新渡戸稲造(1862-1933)が、1920年に設立された国際連盟の事務次長の時代(1920~1926)を過ごしたジュネーブである。会議が終わり、国際連合欧州本部(旧国際連盟本部)の建物を見学し、それから、徒歩でレマン湖に出て、まだ、肌寒い湖岸の遊歩道を散策した。花時計、大噴水、さらに、サン=ピエール大聖堂では、カルヴァンが説教の際に使っていたという椅子を見た。「新渡戸稲造没80周年記念」の年に、国際連盟の地:ジュネーブを訪れることが出来たのは不思議であり、『「知的協力委員会」(1922年設立)の21世紀版』にとって、大いなる静思の時でもあった。


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